MIZEN(ミゼン)は、『人と人とのつながりを感じられることこそがラグジュアリー』という理念のもと、日本の伝統的技術を担う職人達が主役となるラグジュアリーブランドを築き上げるプロジェクト。
日本の伝統技術を現代のライフスタイルに合った形でデザインし、日本のみならず全世界へ向けて提案することで、高度な技術を持った職人の地位向上、そしてその産業の持続可能性を高めていくことを目指しています。
2023年6月は愛知県の伝統的工芸品の一つである有松鳴海絞と、元「HERMES」のデザイナーが高級紬などの反物から洋服をお仕立てするARLNATA〈アルルナータ〉とのコラボレーションをMIZENがプロデュース。
プロジェクトのために作成したオリジナル柄、有松鳴海絞 MIZEN BLUE 「勝」~SHO~「雁木杢目鎧段竜巻き絞り」を使用して仕立てた洋服も発表致します。
オリジナル MIZEN BLUE 勝 ~SHO~
有松鳴海絞(suzusan)
「雁木杢目鎧段竜巻き絞り(がんぎもくめよろいだんたつまきしぼり」
江戸時代、戦さに携わる武将たちの兜の部位の一部に、敵からの刀や槍、矢などの頭部防護のための“錣”(しころ)と呼ばれる覆いがありました。
この帯を締めて、背後からくる邪気などから身を守るよう、また、勝負に勝つという意味も込めたもので、段が連なる模様から、有松絞りが創成された1610年以降には「錣絞り」として武将の馬の手綱などにこの技法が使用されました。
また、「錣絞り」を用いた手綱は尾張の藩主にも献上されるなど武将たちにとっても非常に重宝されていました。
その後、「錣絞り」は有松鳴海絞りの伝統的な絞り技法「鎧段絞り」として呼ばれるようになり、絞り製品にこのデザインが多く用いられるようになりました。
また、今回は「鎧段絞り」に「竜巻き絞り」という、竜巻きや昇竜をイメージさせる技法を重ね合わせることで、より深みのあるデザインに仕上げています。
この絞りは、生地から丁寧に細かい襞(ひだ)を取り、綿糸で螺旋状に5mmほどのピッチで均等に巻き上げ、布を長い綱状にしてから染める、数ある絞りの中でもとても特殊な絞りです。
有松鳴海絞
有松鳴海絞〈 愛知県 〉
ARIMATSU NARUMI SHIBORI〈AICHI PREF.〉
有松絞・鳴海絞(ありまつしぼり・なるみしぼり)は、愛知県名古屋市緑区周辺で作られている絞り染めで、絞りのときにできる濃淡や文様の独特な風合いが特徴の染織物です。江戸時代、この地域は参勤交代で江戸と行き来する西の諸大名たちの宿場でもあり、尾張藩の手厚い庇護のもと絞り生産の独占権を与えられ、旅人が故郷への土産物として絞りの手ぬぐいや浴衣などを買い求め、街道一の名産品となるまでに発展しました。有松鳴海地方の絞り染めは100にも及ぶ圧倒的な種類を誇り、今では「SHIBORI」として世界中で愛されています。