
クリエーションの起源
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“ヨーロッパのファッションが大好きだ。将来はヨーロッパに行って、ヨーロッパで働いて、ヨーロッパで死ぬんだ。” 今思い返せば、10代半ばの漠然とした、しかしながらも強く熱いこの夢を持った時がMIZENのスタートだったのだろう。
小さい頃からモノの形に興味があり、車の横姿をよく鉛筆で紙に書いて遊んでいたのを今でも覚えている。車と言ってもいろんな背中のラインがあるのが楽しかったのだ。
ある時、小学校だったか、「車って色んな形があるよね」って話したら、「全部一緒でしょ」って同級生の誰かに言われたことを今でも鮮明に覚えている。自分にとっては当たり前でも、人によって見えていることって違うんだってすごくショックだった。 幼少期のたわいもないやり取りなのだが、”自分だから見えていること”を意識し始めた出来事だったかもと、過去の自分を思い出す。
それから、中学生の時に見たアレキサンダーマックイーンのコレクションに衝撃を受けた。まだファッションの世界も詳しく知らない状態で、彼の作品に出会ってしまった。タイヤの轢き跡がついた洋服のコレクション。ひたひたに張られた水面の上をモデルたちがウォーキングしていた。 肩のシルエットや、締めるところと緩めるところの攻撃的なコントラストにただただ惹かれていった。
この時直感的に、自分の思い通りのイメージを再現するためには型紙(パターン)を自由自在に扱えないといけないということを知り、そこから型紙に興味を持ち始めた。 洋服を作るという仕事をしている現在の自分の最初のきっかけは、間違いなく彼の存在である。
そして、McQueenから感じたことは、型紙(パターン)自体がデザインにもなるということ。この発見は自分にとってとても大きかった。後になって気づいたことだが、イッセイさんもヨウジさんも川久保さんも、パターンがデザインになっているという点が、パターンナーとデザイナーが完全に分業されているヨーロッパの人々にとって今でも衝撃なんだということは、僕は海外の仕事を通じて確信を持っていることだ。
その後、中高と進学のため勉強に明けくれていたが、一浪の末大学へと入学したあと、服作りを学びたい気持ちを抑えられず、夜間のファッション学校へ入学。これでやっと洋服を作る勉強ができると期待に満ち溢れていた。
Via Threads